PRIDE男祭り 頂-ITADAKI-

もう、盛りだくさんすぎて頭がどうかなりそうでした。
ミルコvsハントが始まるくらいの時点で「うわぁ、まだシウバvsアローナも吉田vs小川も残ってるわ…あれ?ヒョードルの試合ってもう流れたっけ?あ、まだだった…」みたいになってましたから。
11試合ある中で、普段だったらメイン級のカードが半分以上だもんなぁ。メインディッシュだけ5皿も6皿も食ってるようなもんですよ。
いくつかの試合について感想を。

金子賢vsチャールズ”クレイジーホース”ベネット

金子は結構健闘してたんじゃないでしょうか。一応試合らしい形にはなってたし。
桜庭やシウバが「手足が長いからやりにくい」ってことを話してたんだけどたしかに長かったね。
これからどうするのかなぁ。僕としては継続参戦してほしいんだけど。
でも「良い試合をした」で納得してもらえるのは一回目だけだから、次からは身の丈にあったところで修行をするべきだと思うけど。
で、何年か後に今度は堂々とPRIDEのリングに上がって欲しいですね。

僕の周りでベネットの評判が最悪でした。頭おかしいだのなんだの。
まぁそうだよなぁ。でもまぁそういう人出しねぇ。
僕は関節で決めてくれてむしろ優しいなぁと思ったんですけどね。
試合後に島田レフェリーをテイクダウンしてイエローもらっちゃってたのは笑った。

マーク・ハントvsミルコ・クロコップ

うーん。ミルコ負けちゃったか。
僕は運が実力の内であるように体調管理も実力の内だと思うので、風邪を引いていたことは言い訳にならないと思います。
ミルコの打撃はたぶん、K-1用の打撃から総合用の打撃に変化しちゃってるんでしょうね。
それが進化か退化かっつったら進化なんだけど、ハントみたいな相手だと苦しいと。
完全にK-1の試合だったもんなぁ。寝技全くなし。
それにしても、ミルコが弱っていたことを差し引いたとしてもハントの打たれ強さは凄まじすぎ。
ハイキックがまともに入ってもビクともしないんだもの。
ミルコが負けたのは残念だけど、ハントが台頭してきたことで来年のGPが一層楽しみになりました。
ミルコもまた這い上がってくるでしょう。ノゲイラがミルコから劇的な一本勝ちを奪ったのもノゲイラどん底だった時だったし。

五味隆典vs桜井”マッハ”速人

五味の圧勝だったなぁ。
見事なスカ勝ちでした。五味おめでとう。なんか華が出てきたね。
これで武士道の物語も一段落ついたので今後の展開が楽しみです。
五味とヨアキムハンセンとの直接対決もまだだし、川尻もまた這い上がってくるだろうし。

桜庭和志vs美濃輪育久

ディスコミュージックにのせての煽りVTR(桜庭のお母さん登場、「本当にヘブンに行く可能性がありますのでマネしないで下さい」等々)
美濃輪の入場。桜庭の入場。(レイザーラモン桜庭)
何もかもが完璧でした。
あまりの幸福感にほんとうにちびってしまうかと思いました。ヘブンでした。
試合そのものはまぁまぁでしたが。
もっと派手な試合になるかと思ったけど、まぁこんなもんだよね。
タップをしなかった美濃輪の意地もあり。
たまにはこんなお祭りもあって良いですよね。

小川直也vs吉田秀彦

この試合はちょっと真面目に。
泣きました。
小川が白ハチマキを締めて破壊王の「爆勝宣言」で入場したとき。
吉田が小川の顔を容赦なく踏みつけたとき。
試合が終わって二人が抱き合ったとき。
本当に感動しました。

試合自体は思っていたよりずっとあっけないものでしたが、とても濃密な時間でした。
小川の足が折れていなかったらまた別の結果になっていたのか。それとも同じ結果だったのか。
崩れると思っていた小川の幻想は今回もまた消えずに残りました。

小川のあのパフォーマンスは試合前から考えていたんでしょうか。
まさか足が折れる予想なんてしてるわけないだろうから、少なくともおぶってくれ云々はアドリブでしょうが。
プロレスラーとしての小川はしばしば批判の対象にされますが、あれだけ一瞬にして会場を自分の空気に変えてしまうことが出来た小川は立派な、それも一流のプロレスラーだと思います。


試合前、この試合では一方の生き方が否定されもう一方の生き方が肯定されると言われていた。
しかし試合が終わった後、そこには否定された生き方なんて存在していなかった。

相手の関節を極めて勝つことが出来た。それは即ち、吉田秀彦の生き方が正しかったということ。
敗けたけど会場のファン達の心を掴んだ。それは即ち、小川直也の生き方が正しかったということ。


最後に小川が吉田にハッスルポーズを要求したとき、吉田がそれに応えていればそれはそれでまた別の感動のフィナーレになったでしょう。
でも吉田は受けなかった。そこに吉田の信念を感じました。
「空気読め」みたいな意見もあるでしょうが、僕は吉田の選択を支持します。
そして、勝者のはずの吉田だけを除いた会場全体でハッスルハッスル。
その後マイクを握った吉田が話し始めても、それをかき消さんばかりの勢いの小川への声援。
果たしてこの試合の本当の勝者はどちらだったのか。
僕は二人ともが勝者だったのではないかと思います。


まさか、こんな形の「両者リングアウトにより引き分け」が存在するなんて思いもしなかったです。
これだから格闘技ファンはやめられない。