陰日向に咲く/劇団ひとり

とくダネ!で特集されたり、爆笑問題太田が大絶賛したり、それでも「やぐちひとり」で共演している矢口っちゃんは読んでなかったりと話題のこの本。
読んでみました。面白かったです。


色んな所で言われてますが、確かに通常のタレント本とは一線を画してると思います。普通に面白い小説です。
劇団ひとりが書いてるって知らなくても普通に楽しめると思います。
まぁ、それでも作者のキャラクターを知っていることで幾分か面白さの上乗せがされてるとは思いますが。


印象としては、劇団ひとりの芸風である「様々なキャラクターを演じる」というスタイルがそのまんま文章になったような感じ。
ちょっと感情を揺さぶるベクトルを泣きから笑いに変えたら、大体のキャラクターがそのまんま劇団ひとりのネタとして登場してもおかしくない。
実際、「あぁ、これは春樹っぽいかんじかな。」とか「これは萬田丹五郎っぽいな」とか思うキャラクターもいました。


何回かどんでん返しというか、読者の意表を突くような展開がありました。
どれもちょっと考えれば「これがこうなってるんじゃないかな?」と思いつくようなことだったのですが、出てくるタイミングが絶妙で、いちいち「おぉ〜。」と思わされました。(僕が何も考えずに読んでただけかもしれないけど。)
ちなみに一番ゾクッときたのは「鳴き砂を歩く犬」の最後のオチ。具体的に言うと215、216ページあたり。ちょっと泣きそうになりました。


人物の描写が妙にリアルというか、劇団ひとりのネタを見ているときに思う「あぁ、いそういそう!こんな奴!」っていう感覚を感じました。
話の展開も、たぶんこれはお笑いの技法を応用してるんじゃないかと思うような構成で、まさに「お笑い芸人が書いた小説」という感じでした。


舞台化とか映画化しないかなぁ。(オファーは殺到してるらしいけど。)
もちろん「主演・監督・原作 劇団ひとり」で。「やぐちひとり」の冗談が冗談でなくなってしまうぞ。


僕が小説そのものを読んだのが久しぶりだったので、爆笑問題太田が言ったような「ここ数年で一番面白い!」という言い方は出来ませんが、すごく面白かったということを記しておきます。。
読みやすくて一時間くらいで読めるので、興味を持った人は是非読んでいただきたい。
ちなみに僕が一番好きだった章は上でも書いた「鳴き砂を歩く犬」。
次点は「拝啓、僕のアイドル様」。切なかったです。


まぁ、どのキャラクターも頭の中に浮かんでくるイメージ映像は劇団ひとりになっちゃうんですけどもね。